本質的価値と下部要因

>>本質的価値(真正価値、本源的価値)
本質的価値は、現時点でその権利を行使することによって、このオプションからどのくらいの利益が発生するかを表します。原市場価格と権利行使価格を比較して、そのオプションを行使することがどれだけ有利な状態であるかを見るわけです。
本質的価値という言い方のほかにも、真正価値・本源的価値などとも呼ばれます。
ITMのオプションについては、原市場価格と権利行使価格の差額分が、そのままオプションの持つ本質的価値となります。
「ITM、ATM、OTM」の項でとりあげた例で、もう一度考えてみましょう。
原市場価格が1530円のとき、権利行使価格1450円のコール・オプションがあります。このITMのコール・オプションを権利行使すれば、原市場では1530円出さなければ買うことができないものを、1450円で買いつけることができるので、80円分の有利な取引が可能となります。この80円の利益分が、このコール・オプションの持つ本質的価値です。

原市場価格と権利行使価格に差がない、ATMのオプションに関しては、上記のような利益分を含んではおらず、本質的価値はゼロということになります。

では、OTMであるオプションについてはどうでしょう。権利行使価格1450円のコール・オプションに対して、現在の原市場価格が1380円だとします。原市場では1380円で買うことができるものを、権利行使した場合には1450円で買うことになるため、このOTMのコール・オプションの本質的価値は“マイナス70円”となってしまうでしょうか。
ところが、そうではありません。権利行使したら損失を被ってしまうというのであれば、権利放棄してしまえば良いわけです。
このように考えると、OTMの状態にあるオプションについては、原市場価格に対して権利行使価格が有利にはならず、かといって権利放棄すれば不利にもならないですので、本質的価値はゼロであると評価できることになります。

コール・オプション、プット・オプションそれぞれにおける本質的価値の値をまとめると、次のようになります。

コール・オプション プット・オプション
ITMのとき 原市場価格 − 権利行使価格 権利行使価格 − 原市場価格
ATMのとき 0 0
OTMのとき 0 0

本質的価値は、原市場価格と権利行使価格の差額という観点から見たオプションの価値ですので、
・ 原市場価格
・ 権利行使価格
の2つの要因が様々に変化することにより、本質的価値の額に影響を与えることになります。

>>原市場価格の上下
コール・オプションでは、原市場で相場が上昇すると、その分だけ本質的価値が増加するわけですから、他の条件が一切同一であると仮定すると、原市場価格の上昇によってプレミアムの額は押し上げられます。逆に、原市場価格が下がるとプレミアムも下がることになります。
プット・オプションでは、原市場価格が上がることにより本質的価値は減少してしまいますので、他の条件が同一ならば、プレミアムを押し下げる効果があります。逆に、原市場価格が下がるとプレミアムは上がることになります。

>>権利行使価格の高低
同じ商品を原商品とする同限月のオプションでも、権利行使価格が違えば異なる銘柄として扱われることは「定義と基本的な事項」の項にてご説明しました。
コール・オプションにおいては、より低い権利行使価格の銘柄の方が、権利行使したときにはより安い価格で原商品を買うことができるわけですから、本質的価値を多く持っていることになります。したがって、他の条件が変わらない場合、権利行使価格が低い銘柄ほど高いプレミアムがつくことになります。逆に権利行使価格が高い銘柄は、プレミアムは低くなります。
プット・オプションでは逆に、より高い権利行使価格の方が原商品を高く売ることができますので、権利行使価格が高い銘柄が本質的価値を多く持っており、高いプレミアムになります。

>>本質的価値の各要因のまとめ
以上をまとめると、本質的価値を構成する各要因とプレミアムの高低については、次のようになります。
本質的価値の要因 コール・オプションのプレミアム プット・オプションのプレミアム
原市場価格 上昇 高くなる 低くなる
下落 低くなる 高くなる
権利行使価格 高い 低くなる 高くなる
低い 高くなる 低くなる


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